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2006.10.17 *Tue

笑うしゃれこうべ

小学生の頃だったかな?
ラジオから、こんな昔話を聞いたことがある。
ある村に1人の男がいた。
彼の村は、その年、作物が実らず食物飢饉に喘いでいた。
彼も食べるものがなく、飢えに苦しんでいた。
草でも、草の根でもなんでもいいから食べていたいと、彼は森に食料を探しに行った。
その森で彼は、不思議なものを見つけ、腰を抜かしてしまった。
それは、宙に浮く人の頭蓋骨、“しゃれこうべ”だった。
腰を抜かして動けぬ男に“しゃれこうべ”はカタカタ笑いながらこう言った。
「人間がこんなところまで来るなんて珍しいね。なぜこんなところまで来たのだい?」
男は腰を抜かしながらも、村が飢饉であること、自分も食料を探して森に入ったことをしゃべった。
“しゃれこうべ”はカタカタ笑いながらこう言った。
「そうかい。実はね、俺はおしゃべりなんだが、しゃべる相手がいなくて退屈していたところなんだ。もし、お前が俺のしゃべり相手になってくれるなら、食料のある場所を教えてやろう」
男は、食料をもらえると聞き喜んで約束を受け入れた。
“しゃれこうべ”について行くと、そこには一面のカボチャ畑が広がっていた。
「ここのカボチャを好きなだけ食べるといい。ただし、他の人には絶対に言わないこと。これだけは約束してくれ」
喜んだ男は「絶対にしゃべらない」と約束し、カボチャをむさぼるように食べた。

それから、男は毎日カボチャ畑に通い、カボチャを食べ、“しゃれこうべ”の話し相手になった。
ある時、男は“しゃれこうべ”疑問をぶつけてみた。
「なぜ、あなたはそんな姿なのですか?」
“しゃれこうべ”はカタカタ笑いながらこう言った。
「俺も昔は、お前と同じ人間だったんだよ。だけど、口が俺を殺した」と、またカタカタと笑った。
男にはその意味が全く分からなかった。

村の飢饉はその後も続いたが、男だけは飢えることも痩せることもなく過ごすことができた。
それを不思議に思った村人が男に聞いた。
「なぜお前は飢えていないんだ?もしかして、食料を見つけたのか?もし、そうならお前は村の英雄だぞ」
“村の英雄”という言葉を聞いた男は、嬉しくなって村人達を“しゃれこうべ”のいるカボチャ畑に案内した。

しかし、そこには“しゃれこうべ”はおろかカボチャ畑などなかった。
飢えの苦しみでいきり立っていた村人達は男に対して、
「お前嘘をついたな!自分だけが生きたいからと嘘をついたんだ!お前なんて死んでしまえ」
男は村人達に殴り殺されてしまった。
男は死ぬ間際、“しゃれこうべ”を見た気がした。
「だから言っただろ。俺は口に殺されたんだってな」とカタカタ歯を鳴らし笑っていた。


なぜかはわからないけど、この話は1回しか聞いたことがないのに、しかも車の中のラジオで聞いた話なのに忘れられない。
今の私は、“しゃれこうべ”の忠告を守れなかった男のようだ。
09:09CM(0)TB(0)EDIT

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